2013年6月23日日曜日

割と適当に動作するOS「誰得OS」のCortex-M0+版であるUOS-LPC800を作りました

割と適当に動作するOS「誰得OS」のCortex-M0+版を作りました。

32ビットプロセッサとしては極めて小さいNXPセミコンダクターズ社のLPC810 (RAM=1KB、ROM=4KB) でもなんとか動作します。名付けてUOS-LPC800です。


以下の動画では、LED点滅タスクとUART送受信タスクが動作しているところを示しています。


LPC800 MiniBoardをお持ちの方はHEXファイルをダウンロードして試してみる事ができます。
「割と適当に動作する」などと言いながらも、スケジューリング・アルゴリズムはラウンド・ロビンと優先度ベースで選択できたりします。そして、カーネルの中核を成すコードはわずか300行で誰にも読み切れるサイズです。

今年中に「茶室で楽しむKOZOS拡張基板」のような企画をやりたいなぁ~と考えているところです。

2013年5月5日日曜日

ARM Cortex-M3のアセンブラ学習に最適なインストラクションを簡単に調べるツールを超適当に作ってみた

何それ?

ARM Cortex-M3のCソースコードから注釈付きアセンブラリストを得るスクリプトです。

先日の投稿で「誰得OS」を作る事を考え、インターフェースの設計を行いました。
このOSのターゲットとしてARM Cortex-M3を最初に選択しました。
ARM Cortex-M3のアセンブラを記述するのは初めてなので、カーネル内部コードを記述する際に役立つであろうインストラクションを簡単に調べるツールを超適当に作ってみた次第です。


このツールのフローは以下のようになっています。
  1. ソースコードをC言語で記述する
  2. ソースコードをコンパイルしてオブジェクトファイルにする
  3. オブジェクトファイルを逆アセンブルしてインストラクションリストにする
  4. インストラクションリストを走査して注釈を付ける
このツールで最終的に得られる出力は逆アセンブルされた命令に注釈が付いたテキストです。


上記のように、逆アセンブル結果から対応するインストラクションを列挙してくれます。
わざわざ辞書のようにインストラクションセットを引く必要もありません。

アセンブラを記述する場合、単純な「やりたい事」と「インストラクション」を繋げていく作業が大半を占めます。予めC言語で書いたソースをコンパイルし、それを逆アセンブルした結果をインストラクションセットと一緒に眺めれば学習効果が高まるだろうと考えたわけです。

ダウンロード

ダウンロードはこちらからどうぞ。
自己責任でお使い下さい。

テスト用のサンプルCソースとMakefile付き。
実行後の結果も一緒にまとめてあります。

実行したい場合、単にmakeと打つだけです。
地味ながらこれは便利。

2013年4月30日火曜日

割と適当に動作するOS「誰得OS」を作る事を考える No.1 (まずはインターフェースを考えるだけ)

先日から色々と思うことがあって、「割と適当に動作する」OSを作る事を考え始めました。
「割と適当に動作する」というのは、まぁ言ってみれば「オモチャとして動作します」という事です。

考えているOSは、リアルタイム性もないし、タスク間通信も最小限。
でも、自分が作ったからよくわかるという、その名も「誰得OS」です。

私の場合、ソフトウェアは基本的にインターフェースの設計から始めます。
この基本方針はOSになっても変わりません。

まずは「誰得OS」のインターフェースを考える事にしました。


「誰得OS」は、
  1. daretoku_kernel_initでカーネル・オブジェクトを初期化。
  2. daretoku_task_initでタスクを初期化。
  3. daretoku_kernel_startでカーネルを動作開始。
と最低限3つのインターフェースを知っていれば動作させる事ができます。
「できます」と書いていますが、まだできていないので、そうなるように作る事にします。

ただ単にマルチ・タスクなだけではOSとしてあんまりなので、タスク間通信もdaretoku_msg_send_waitとdaretoku_msg_recv_waitで実現する事にします。

優先度とかは後で考える事にして今は放置。
当然のようにリアルタイム性に対する考慮なんてしません。

残念なOS、それが「誰得OS」なのです。
という事で、インターフェースを考えるだけなら簡単です。

これからチマチマと実際に動作するOSに仕立てていく作業が始まります。
適当に作る割に先は長そうです。

2013年3月31日日曜日

DMAバッファ管理手法の続編

シンプルな制御モデル

昨年10月の投稿「ビデオやオーディオのDMAバッファの管理手法 (動かして遊べるソースコード付き!)」では、ビデオやオーディオなどを扱うファームウェアで、DMAバッファをどのように扱うと良いのかについて述べました。

先の投稿で上げた制御モデルは以下のようなシンプルなものでした。



この制御モデルは、巷でよく見かける配列のインデックスを使って制御する方法よりも抽象化が可能で、チャネル数の変更や遅延量の制御などを簡単に実現する事が可能です。

このシンプルな制御モデルの応用可能範囲は、ビデオやオーディオに限りません。

例えば、データロガー等の場合、出力側にSDカードのような書き込み処理に時間がかかる物を配置する事があります。
この場合、viproc側でデータ収集設定(DMA設定)、voproc側でSDカードへの書き込みという事になります。

何がポイントですか?

先の制御モデルのポイントの一つは「queueによって入出力の関係が切れている」事です。
実は先日のシンプルな制御モデルは非常にシンプルにした一例で、実際に使用する場合にはもう少し思考を進める必要があります。

話を先に進める前に簡単にポイントを振り返っておきましょう。
  1. 遅延器(DELAY)は、DMAリクエスト発行からDMA完了までの時間を保証する。
  2. キュー(QUEUE)は、処理時間が一定でない後段に前段が影響を受けないようにする。
  3. 遅延器(DELAY)とキュー(QUEUE)によって、入力と出力の時間依存関係を緩いものにする。
入力側と出力側の両方でDMAを使用する場合も考慮して、先のシンプルな制御モデルに対して少し思考を進めてみましょう。


今回は対象領域も明確にしておきました。

入力処理では、入力キューからバッファを取得し、DMAリクエストを発行した後、入力遅延器にバッファを格納します。加えて、入力遅延器から出力キューに過去のバッファを移動させます。
出力処理では、出力キューからバッファを取得し、DMAリクエストを発行した後、出力遅延器にバッファを格納します。加えて、出力遅延器から入力キューに過去のバッファを移動させます。

上記文面を見ておわかり頂けると思いますが、入出力で完全に対称系になっています。

上記モデルを使用する事で、先に挙げたようなチャネル数の変更や遅延量の制御だけでなく、入出力の位相が曖昧な場合でも制御が破綻するような事がありません。

上記の制御モデルを使用する場合、以下のような事も考慮すると良いでしょう。
  • 入力と出力は別々のハードウェアが担当しているのが普通。
    • 入力割り込み、出力割り込みは非同期系として設計する。
    • RTOSを使用する場合、入力と出力の処理スレッドは別々に設計する。
  • キューから取り出せない場合、どのように振舞うべきか?
    • 制御系が何を期待するのかによって挙動を決めます。
  • 全体をリセットする場合、どのようにリセットすべきか?
    • これは意外に難しい問題です。
    • ハードウェアがどのように振舞うのかによっても大きく変わります。
  • その他。(色々あります)

    動かして遊べるソースコード

    今回も動かして遊べるソースコードを用意しました。
    先の投稿のソースコードと見比べてみるのも楽しいと思います。

    2013年2月24日日曜日

    nanoKONTROL2を小規模組み込みシステムのユーザインターフェースとして使うお手軽な方法

    便利だったけど・・・

    2012年初頭からネチネチネチネチ続けているオーディオ・プラットフォーム開発。

    オーディオ・プラットフォーム開発用にでっち上げたベース基板には、予めオーディオ・プラットフォームで使用するであろう「何らかのパラメータ設定手段」を提供するために、LCDとロータリースイッチを搭載しました。


    ロータリースイッチでクルクル回転させてグシッと押せば、即座に設定完了という操作系です。
    これはこれで便利だったのですが、パラメータが複数に渡ってくると操作性に不満が出てきます。

    今回ご紹介する新しいアイデアは、2012年の11月の時点で試作まで完了していました。
    すっかり別件で忙しくて忘れていたのですが、どのようなものなのか御紹介しようと思います。

    nanoKONTROL2

    nanoKONTROL2とは、KORGが販売している音楽制作環境向けのコントロール・サーフェースです。
    USB経由でパソコンに接続し、音楽制作環境で色々操作できるというもの。


    このように沢山のスライダーとノブが搭載され、複数のパラメータを調整するにはもってこいです。


    この手のコントローラはMIDIイベントを送受信できるように設計されています。
    MIDIイベントを受信するソフトウェアをホスト上に仕立て、組み込みシステムに指令を与えれば完成というわけです。
    組み込みシステムはホスト上から制御出来れば、特別に何かする必要はありません。お手軽ですね。


    単にホストに接続できるコントローラを購入しさえすれば、複数のパラメータを直感的に操作可能なユーザインターフェースをシステムのサービスとして提供できるようになるのです。

    動作の様子

    それでは動作の様子を動画で御紹介します。



    上記のように複数のパラメータをサクサクゴニョゴニョする事ができます。

    同時に複数のパラメータを直感的に操作できるのが嬉しいポイント。
    癖になってしまいそうな感覚です。

    まとめ

    今回のアイデアは様々なところに応用する事ができます。

    このようなコントローラは安価で入手しやすいというのも嬉しいメリットの一つ。
    これらのインターフェースを直接組み込みシステムに搭載しようと考えたら大変です。
    直感的なインターフェースを実現するための部品コストは馬鹿になりません。

    お手軽に使えるところを使う事で、素早くシステムとしてのサービスに仕立てる事が可能です。

    2013年2月17日日曜日

    簡単便利なBlackfin用フラッシュ書き込みツール「Blackfin BlueBoot」のVersion 0.3.0をリリースしました。

    Blackfin BlueBootってなぁに?

    Blackfin BlueBootってなぁに?という方は、「Blackfin BlueBoot - Blackfinに接続されたブート用外付けフラッシュ・ロムを書き換える事ができるソフトウェアのデビューです!」を御覧下さい。

    Blackfin BlueBootの開発プラットフォーム

    2012年の12月に最初のリリースBlackfin BlueBoot Version 0.2.0をリリースしました。

    このBlackfin BlueBootは、「DSPに興味はあるけど環境整備の敷居が高くて手を出せない!」という人のために設計実装した開発ツールです。メーカー純正ツールなら外付けフラッシュに書き込めるけど、それはまぁだいたい10万円です・・・なんて簡単に手を出せる物ではありません。

    Blackfin BlueBootによって、無償の外付けフラッシュ書き込み環境を実現しています。


    Blackfin BlueBootの開発には、市販されているDSPボードとオーディオコーデックボード用を搭載できるベース基板BlueTankを開発して使用していました。これ一台さえあればオーディオ入出力プラットフォームになるという算段です。これはなかなか便利なものでした。例えば、以下のようにオーディオアプリケーションを簡単に楽しめるようになっています。


    「これ一台で」というのがポイント。

    ベース基板BlueTankは自分で設計しているのでI/Oの取捨選択は自分でできます。
    自分が欲しくないI/Oがてんこ盛りになった評価基板なんていらないのです。

    便利なオーディオプラットフォームが登場


    さて、前述の市販されているDSPボードとオーディオコーデックボードは、金子システム社製のものでした。これ一台(一枚?)でDSPが楽しめますなシンプルなボード構成がとても気に入っていました。


    前述のBlueTankには同社製「DSP基板」と「オーディオコーデック基板」が搭載される形式でした。

    そんな折、新しく仕入れたのがTUNA-CANと呼ばれる新しいオーディオプラットフォームです。
    なんと、このTUNA-CAN基板は「DSP」と「オーディオコーデック」の2つが1枚の基板にコンパクトにまとめられています。

    以下がその写真です。


    これにLCDとロータリースイッチを付ければもう「BlueTankいらず」です。
    この新しいプラットフォームに触発され、新しいバージョンをリリースする事にしました。

    Blackfin BlueBoot Version 0.3.0

    新しいBlackfin BlueBoot Version 0.3.0では、主に以下の変更を行ないました。

    • 書き込みセクタ数の算出バグを修正。
    • LDRファイル選択時にLDR情報が更新されないバグを修正。
    • TUNA-CAN用ブートローダをリリースに同梱。
    • ホスト側I/Oライブラリのソースコードを同梱。
    • 日本語ローカライズに対応。
    ダウンロードはこちらからどうぞ。

    まだまだ修正したい事は沢山あるのですが、それを待っていたらリリースができません。
    今回はタイミング重視で、小さく更新してリリースする事にしました。

    その他

    実はBlackfin BlueBootの初版をリリースした後、別の類似ツールを作っていました。
    その話と関連したあれこれは、別途機会を見てご紹介する予定です。

    酔漢さんが運営されているDSP空挺団では、「ブレッドボードで作るオーディオ信号処理」が公開されています。
    こちらの投稿もお勧めです。