まえがき
大抵の場合「ARMマイコン!ARMマイコン!」と言っているその中身は、ARM社が提供しているプロセッサに加えて、チップベンダー各社が周辺回路を加えてパッケージングされたものだったりします。 「マイコンを使えます」という人でも、自分が使っているマイコンがどういったプロセッサを使用しているのか詳細を答えられる人は稀で、せいぜい「Cortex-M0+です」とかその程度のものでしょう。
4年前の2013年、LPC810でも動作するUOS-LPC800を設計し、その過程でARMv6-Mのレジスタセットについて学習しました。 この学習過程を振り返った上で、再度見直して楽しんでみようというのが本シリーズです。
ブート!
学習過程を振り返るというお題があるので、学習を始める過程も挙げておきます。 まずは題材となるマイクロコントローラのデータシートを見ます。
NXP社のウェブよりLPC81X_LPC83X: Low-Cost Microcontrollers (MCUs) based on ARM® Cortex®-M0+ Coresには、ARM Cortex-M0+と書かれていますね。でも、この段階では「あぁ、ARM Cortex-M0+っていうのを使っているんだ。」程度にしかわかりません。
次に「このARM Cortex-M0+って何だ?」というのは、ARM社の情報を見る事になります。 https://developer.arm.com/products/processors/cortex-m/cortex-m0-plusには、ARM Cortex-M0+という絵の中に「CPU ARMv6-M」とあり、「あぁ、ARMv6-Mと呼ばれるCPUを使っているんだなぁ」と先ほどのARM Cortex-M0+から一段掘り下げた情報が得られます。
で、ハイライトを見ると、ISA Supportの欄に「Thumb/Thumb-2 subset.」と書かれています。この「ISA」というのは、Instruction Set Architectureの略で、命令セットアーキテクチャは「Thumb/Thumb-2のサブセットだよ」と言っています。
ここまでで、「ARM Cortex-M0+は、ARMv6-Mと呼ばれるCPUを使っていて、命令セットアーキテクチャはThumb/Thumb-2のサブセットである。」という事がわかりました。
さて、プロセッサと戯れるためには、ここで止まってはいけません。 更にhttps://developer.arm.com/products/architectureから、M-Profile Architecturesの情報https://developer.arm.com/products/architecture/m-profileに辿り着きます。
概要ページにはARMv6-Mアーキテクチャの概要も書かれており、「T32命令セットをサポート」と書かれています。 新しいキーワードT32命令セットが出てきましたね。
Instruction Setsのページhttps://developer.arm.com/products/architecture/instruction-setsを見ると、A64、A32、T32の各命令セットについてリンクが張られています。
https://developer.arm.com/products/architecture/instruction-sets/a32-and-t32-instruction-setsには「T32命令セットはARMv8アーキテクチャ以前にThumbとして知られていたもの」と書かれています。つまり、先に出てきたThumbと呼ばれる命令セットはT32命令セットである事がわかりました。
今回のまとめ
「ARM Cortex-M0+は、ARMv6-Mと呼ばれるCPUを使っていて、命令セットアーキテクチャはThumb/Thumb-2のサブセットである。T32命令セットはThumbとして知られている。」という事がわかりました。
次回は、ドキュメントのページhttps://developer.arm.com/products/architecture/m-profile/docsに辿り着いて色々と見てみましょう。
http://docs-api-peg.northeurope.cloudapp.azure.com/assets/ddi0419/c/DDI0419C_arm_architecture_v6m_reference_manual.pdfがアーキテクチャのリファレンスマニュアルです。
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